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全部又は一部を助成したり、秘書の給与を負担したりしている。
・国際機関は、様々な努力を要求してくる。その度毎に国際機関と協議・交渉し、都市間競争に負けないように努力している。その結果、国際的な機能が集積し発展してくる。日本のストラスブール総領事館の設置もその一例であると考えている。

 

3 欧州議会事務局フリッツ氏とのインタビュー内容
・欧州議会がどこで開催されるかは、政治的な意思決定というよりもむしろ偶然的な、あるいは便宜上、実用上の観点から決まったという見方の方が正しい。
・欧州議会は、ストラスブール、ルクセンブルク、ブリュッセルの3カ所で機能が分有されているが、それは、まず1つには、欧州議会の源流がECSCの共同総会であることから、石炭・鉄の中心地としてルクセンブルクが、次に、EECが発足する58年当時の加盟国の議長国がたまたま6ヶ月毎のアルファベットの持ち回り順でベルギーであったことからブリュッセルが、そしてさらには、その当時、議場と通訳を容易に供給できたことからストラスブールが選ばれたというのが実態。
・アルザス地方はその歴史的経緯から、フランス・ドイツの和解を象徴する場であり、その中心都市であるストラスブール市は、地理的にも欧州の中心に位置するというシンボリックな理由から、欧州議会の本会議が開かれることになっているという説明がなされるが、そのことも影響したことは確かだが、説明としては上記の方がより実態に近いと考える。
・欧州連合が加盟国を拡大するにつれ、ストラスブールの持つシンボルとしての意味は薄れでいっている。むしろ、実用性、便利性を求める声が高まっている。
・ストラスブール市の持つ次のようなデメリットな側面を指摘してブリュッセルに移すべきとの議論が欧州議会議員の間でもなされており、無視できない勢力となっている。
? 本会議は議会の各委員会を管理する権限があるが、その権限を行使するためには、委員会が開催されるブリュッセルにあるほうが便利である。
? 欧州委員会のあるブリュッセルのほうが各国からのプレスの数も多く、議会の活動もプレスに取り上げられやすい。
? ブリュッセルは民間企業や団体の事務所も多く、何かと活動に便利である。
? ストラスブールは、欧州各地からのアクセスがブリュッセルに比べ不便である。(例えば、シチリア→ローマ→パリ→ストラスブール)
・これに対するストラスブール側の反論は、相も変わらずストラスブールはフランスとドイツの連携協力のシンボルであるという同じことの繰り返しである。
・ストラスブールが欧州議会本会議の開催地であるという1992年12月のエディンバラ合意に基づく法的地位は維持されると思うが、実質的な機能は、ストラスブールを利用する率の

 

 

 

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